臨時農業生産情報(大雨と高温に対する技術対策)

【大雨に関する情報】
 青森地方気象台発表(2023年8月3日5時41分)「大雨と雷及び突風に関する青森県気象情報 第2号」によると、津軽では、暖かく湿った空気や気圧の谷の影響により、3日から4日にかけて、大雨となる所がある見込みです。
 今後の気象情報に十分注意し、次の点に留意して、被害の未然防止と軽減に努めてください。
 なお、ほ場の見回り等については、危険な場所には近づかず、安全を十分確保して慎重に行ってください。

【高温に関する情報】
 仙台管区気象台発表(2023年7月31日14時30分)「高温に関する早期天候情報(東北地方)」によると、東北地方では、今後2週間程度、暖かい空気が流れ込みやすいため、気温は平年よりかなり高くなる可能性があります。
 今後の気象情報に十分注意し、次の点に留意して、農作業の適正な管理に努めてください。また、農作業中の熱中症に十分注意してください。

1 大雨に対する技術対策
【事前対策】
(1)共通の対策
   地盤が緩み崩壊の恐れがある農地・林地及び農道・林道並びに増水中の河川などには絶対に近寄らないようにし、異常を発見した場合は、速やかに市町村等へ連絡する。

(2)水 稲
   畦畔の補強を行い、排水口を調節するとともに、排水路の点検・整備を徹底する。

(3)りんご・特産果樹
   低地や排水不良の園地では、排水溝を設けるなどの排水対策を行う。

(4)野菜・花き・畑作
   施設周辺やほ場に排水溝を設け、排水対策に努める。

(5)畜 産
  ア 低地や排水の悪い飼料畑は、排水溝を設けるなどの排水対策を行う。
  イ 畜舎に雨水が流入した場合に備え、除ふん作業を済ませ、紙袋の飼料などは浸水しない場所に移動する。

(6)農地・農林業用施設
  ア ため池は、貯水位が高い場合には放流して水位を十分に低下させておくとともに、洪水吐、水門等を点検し、通水の阻害となる土砂、ゴミや流木等を除去する。
  イ 水路は、水門が適正に閉じている、あるいは開いていることを確認し、通水の阻害となる土砂、ゴミや流木等を除去する。

【事後対策】
(1)共通の対策
  ア 地盤が緩み崩壊の恐れがある農地・林地及び農道・林道並びに増水中の河川などには、絶対に近寄らないようにし、異常を発見した場合は、速やかに市町村等へ連絡する。
  イ 浸水や冠水したほ場・園地では、明きょやポンプにより速やかに排水する。

(2)水 稲
  ア 土砂が流入した場合は、速やかに取り除く。
  イ 畦畔や用排水路が破損した場合は、速やかに補修する。
  ウ 倒伏した場合は、できるだけ早く株起こしを行う。
  エ 冠水や浸水した場合は、速やかに排水するように努める。

(3)りんご・特産果樹
   園地に水が溜まった場合は排水に努める。

(4)野菜・花き・畑作
  ア ながいも等のほ場で、「穴落ち」した場合は、速やかに修復する。
  イ 果菜類のほ場で冠水した場合には、動力噴霧機で散水した後、マルチを除去して、株元を乾かし、根の回復を図るとともに、冠水した果実は早急に取り除く。また、浸水した場合は、草勢の低下を防ぐため、摘果や早採りで着果負担を軽減する。
  ウ 露地で種子が流出したほ場は、再度は種を行う。
  エ 浸水・冠水などにより損傷を受けた場合は、病気が発生しやすくなるので、蔓延しないよう、薬剤散布する。
  オ 大豆のほ場では、排水後、明きょの補修を行う。

(5)畜 産
  ア 飼料畑に停滞している水は、速やかに排水する。
  イ 畜舎が浸水した場合は、家畜伝染病の発生を予防するため、消毒を徹底する。
  ウ 浸水等の被害を受けた飼料は、品質を見極め、十分注意して給与する。

(6)農地・農林業用施設
  ア 農地・林地・農林業用施設が被災した場合は、速やかに被災状況を市町村へ報告する。
  イ 被災した農地・林地及び農林業用施設は、身の安全を確保した上で、シートで被災箇所を覆うなど、被害が拡大しないよう努める。

2 高温に対する技術対策
(1)水 稲
  ア 出穂・開花期は、稲が最も水を必要とする時期になるので、開花・受精に支障がないよう5~6cmの水深を保つ。
  イ 出穂後6~10日の期間に高温になると、胴割米などが発生し品質が低下しやすくなるので、開花が終了した水田では、水の入れ換えや掛け流しにより水温の上昇を防ぐ。
  ウ 斑点米カメムシ類の発生が「多い」と予想されているので、適期防除を徹底する。
  エ 早期落水は品質低下を助長するので、落水の目安「乾田で出穂後30~35日、湿田で出穂後20~25日」を守る。

(2)りんご・特産果樹
  ア 徒長枝の整理、支柱入れや枝つりなどは、日焼け果が発生しないよう高温時には控える。
  イ 苗木や若木、わい性台樹は乾燥の影響を受けやすいので、園地の状況を確認し、乾燥している場合は1㎡当たり20リットル程度をかん水する。
  ウ ハウスぶどうは、換気などによる温度管理を徹底する。
  エ 草からの蒸散を防ぐため、草刈りをこまめに行い、樹冠下に敷き草をする。
  オ 収穫は、果実温が高い日中を避けて行い、収穫した果実は速やかに冷蔵庫に入れるか、日陰に置くなどにより鮮度保持に努める。

(3)野菜・花き・畑作
  ア 施設栽培では、換気や遮光資材などによる温度管理を徹底する。
  イ 野菜・花き類は、生育に応じた追肥とかん水を行い、草勢を維持する。また、収穫は、涼しい時間帯に行い、収穫物は直射日光が当たらないようにするなど鮮度保持に努める。
  ウ 高温・乾燥が続くと、ハダニ類、アザミウマ類、アブラムシ類等の発生が多くなるので、早期発見、早期防除に努める。
  エ 転作大豆では、ほ場が乾燥している場合は、うね間かん水を行う。

(4)畜 産
  ア 畜舎の暑熱対策
  (ア)窓を開放したり換気扇や送風機を利用して、舎内の風通しをよくする。
  (イ)日除けの設置や屋根への散水等により舎内温度を下げる。
  イ 家畜の飼養管理
  (ア)飼料給与は朝、夕の涼しい時間帯に行うなどして乾物摂取量を高める。
  (イ)新鮮な水を常に飲めるよう飲水環境を整える。
  (ウ)乳用牛では特に、乳量や乳成分の低下を防ぐため、良質の一番草を給与するようにし、ビタミンやミネラルの補給に努める。
  (エ)種雄豚の交配は涼しい時を選び、供用は週2回程度とする。
  (オ)鶏については、夜間に給餌する方法も有効である。
  ウ 放牧牛の管理
  (ア)放牧は、木陰のある牧区を使い、ミネラルの補給を欠かさないようにするとともに、新鮮な水が常に飲めるようにする。
  (イ)放牧牛の行動をよく観察し、異常牛の早期発見・早期治療に努める。

(5)農作業(熱中症の予防)
  ア 日中の気温の高い時間帯を外して作業を行う。
  イ 作業前・作業中は水分補給や休憩をこまめに取る。
  ウ 屋外では帽子や通気性の良い作業着を着用し、屋内では送風機やスポットクーラーなどを活用する。
  エ なるべく2人以上で作業し、時間を決めて水分・塩分補給の声かけを行う。

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