青森県は、三方を海に囲まれ、県の中央部に位置する奥羽山脈が県内を二分しているなど、海域や地形が複雑なことから、同地域によって気候が大きく異なります。
日本海側の津軽地域は豪雪地帯ではあるものの、日本海を北上する温暖な對馬暖流のおかげで夏は温暖。
世界自然遺産の白神山地や八甲田連峰、岩木山から流れる清らかな水が大地を潤し、米やりんごなど、多くの実りをもたらしています。
太平洋側の県南地域は、冷たく湿った偏東風(やませ)の影響で夏季冷涼であることから、ながいもやごぼうといった野菜の大産地となっています。
その他にも、地域特性を生かした多様な農産物が県内各地で生産されています。

青森県経済の中での位置付け
- 青森県の全産業の就業人口に占める農林漁業人口の割合は11.8%と全国平均の3.9%に比べ高い水準となっています。
- 令和3年の本県の農業産出額は3,277億円で、全国で第7位、東北で第1位(18年連続)となっています。
- また、各品目がらバランスよく生産されているのも特徴の一つです。
農業産出額及び食料品・飲料等製造業の出荷額
(単位:億円)
区分 | 農業産出額 | 食料品・飲料等製造業の出荷額 |
---|---|---|
平成2年 | 3,270 | 4,691 |
平成7年 | 3,193 | 4,547 |
平成12年 | 2,648 | 3,921 |
平成17年 | 2,797 | 3,506 |
平成22年 | 2,751 | 3,941 |
平成27年 | 3,068 | 4,543 |
平成29年 | 3,103 | 4,766 |
平成30年 | 3,222 | 4,912 |
令和元年 | 3,138 | 4,872 |
令和2年 | 3,262 | – |
令和3年 | 3,277 | – |
出典:生産農業所得統計、青森県の工業
農業産出額構成比(令和3年)

出典:生産農業所得統計、林業所得統計、漁業・養殖業生産統計
全国上位に位置する食料自給率
青森県の食料自給率は、カロリーベース、生産額ベースともに全国上位に位置しており、日本の食を支える国内有数の食料供給県となっています。
カロリーベース(全国38%)
順位 | 都道府県名 | 概算値(%) |
---|---|---|
1 | 北海道 | 216 |
2 | 秋田 | 205 |
3 | 山形 | 145 |
4 | 青森 | 123 |
5 | 新潟 | 109 |
生産額ベース(全国66%)
順位 | 都道府県名 | 概算値(%) |
---|---|---|
1 | 宮崎 | 284 |
2 | 鹿児島 | 275 |
3 | 青森 | 241 |
4 | 北海道 | 211 |
5 | 岩手 | 199 |
出典:農林水産省 食料需給表(令和元年度)
農林水産業の生産概要
- 県内では、米や、全国の生産量の約6割を占めるりんご、全国一の生産量を誇るにんにく、ごぼうなどの野菜のほか、様々な畜産物などの生産が行われ、多様な農業が各地で展開されています。
- 農業産出額は、果実、畜産物、野菜、米の順で多く、果実は全国第1位、野菜は東北一です。
農産物(令和3年)
区分 | 作付面積 (ha) |
生産量 (t) |
産出額 (億円) |
---|---|---|---|
米 | 41,700 | 256,900 | 389 |
りんご | 20,400 | 415,700 | 1,027 |
特産果樹 | – | – | 67 |
野菜 | 14,943 | 394,225 | 753 |
花き | 82 | 13,728 (千本、千鉢) |
17 |
工芸作物 | – | – | 31 |
その他 | – | – | 46 |
計 | 2,330 |
出典:農林水産省統計より作成、花きは県農産園芸課
※野菜(いも類含む)の作付面積、生産量は主要26品目
※花きの生産量は出荷量
畜産物(令和4年2月1日現在)
区分 | 飼養頭羽数 | 産出額(3年) (億円) |
---|---|---|
乳用牛 | 12,200頭 | 88 |
肉用牛 | 54,600頭 | 161 |
豚 | 358,600頭 | 221 |
鶏 | 4,650千羽(採卵鶏:成鶏めす) 8,058千羽(ブロイラー) |
450 |
その他 | – | 27 |
計 | – | 947 |
出典:畜産統計、生産農業所得統計
農業の全国ランキング
1 | りんごの生産量 | 第1位 | 3年 |
---|---|---|---|
2 | にんにくの生産量 | 第1位 | 3年 |
3 | ごぼうの生産量 | 第1位 | 3年 |
4 | 採卵鶏1戸当たりの飼養羽数 | 第1位 | 4年 |
5 | 豚の1戸当たりの飼養頭数 | 第2位 | 4年 |
6 | ながいもの生産量 | 第2位 | 3年 |
7 | 西洋なしの生産量 | 第3位 | 3年 |
8 | だいこんの生産量 | 第3位 | 3年 |
9 | かぶの生産量 | 第3位 | 3年 |
10 | 食料自給率(生産額ベース) | 第3位 | 2年 |
11 | たばこ耕作面積 | 第4位 | 3年 |
12 | 牧草地面積 | 第4位 | 2年 |
13 | 食料自給率(カロリーベース) | 第4位 | 2年 |
14 | 耕地面積 | 第4位 | 3年 |
15 | にんじんの生産量 | 第4位 | 3年 |
16 | さくらんぼの生産量 | 第4位 | 2年 |
17 | ブロイラーの飼養羽数 | 第5位 | 3年 |
18 | メロンの生産量 | 第5位 | 3年 |
19 | ばれいしょの生産量 | 第8位 | 3年 |
20 | ピーマンの生産量 | 第8位 | 3年 |
21 | ねぎの生産量 | 第10位 | 3年 |
農業の担い手
- 令和2年の農業経営体数は29,022経営体で、平成27年と比べ6,892経営体(19.2%)減少しています。
- 一方、株式会社や合同会社といった法人経営体が増加しているほか、経営耕地面積では20ha以上、販売金額では1,000万円以上の経営体は増加しています。
- また、基幹的農業従事者数は48,083人で、平均年齢は65.4歳となっています。高齢化が進行する中で、本県の平均年齢は、全国平均の67.8歳を約3歳下回り、都道府県別では北海道に次いで2番目に低くなっています。
農業経営体数の推移

出典:農林業センサス
農業経営体の構成
区分 | 農業 経営体 |
|||
---|---|---|---|---|
個人 経営体 |
団体 経営体 |
|||
うち法人 | ||||
令和2年 | 29,022 | 28,232 | 790 | 646 |
平成27年 | 35,914 | 35,037 | 877 | 524 |
増減数 | △6,892 | △6,805 | △87 | 122 |
増減率(%) | △19.2% | △19.4% | △9.9% | 23.3% |
出典:農林業センサス
経営耕地面積規模別農業経営体数の増減率
(平成27年→令和2年)

出典:農林業センサス
農産物販売金額規模別農業経営体数の増減率
(平成27年→令和2年)

出典:農林業センサス
新規就農者の状況
- 新規就農者数は、過去5年平均で275人前後で推移しており、令和3年度は265人となっています。
- 内訳として、高校や大学等を卒業してすぐに就農した新規学卒者が62人、他産業等に従事した後に就農した者のうち、農家出身者が82人、非農家出身者が121人です。
- 新規就農者のうち、農業法人に就職する方も増加傾向にあり、令和3年度は調査を開始してから2番目に多い130人となっています。
- 営農類型別で見ると、独立自営では果樹や露地野菜が多いほか、畜産法人への雇用就農が多くなっています。
青森県における年度別新規就農者数(単位:人)
形態別 | H24 | H25 | H26 | H27 | H28 | H29 | H30 | R元 | R2 | R3 | 過去5年平均 H28~R2(A) |
||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
総計 | 267 | 258 | 296 | 263 | 246 | 277 | 256 | 292 | 303 | 265 | 275 | ||
新規学卒者 | 83 | 63 | 71 | 72 | 59 | 72 | 51 | 65 | 55 | 62 | 60 | ||
他産業等からの就農者 | 184 | 195 | 225 | 191 | 187 | 205 | 205 | 227 | 248 | 203 | 214 | ||
農家出身者 | 137 | 125 | 144 | 98 | 122 | 106 | 94 | 118 | 100 | 82 | 108 | ||
非農家出身者 | 47 | 70 | 81 | 93 | 65 | 99 | 111 | 109 | 148 | 121 | 106 |
青森県農林水産部構造政策課調べ
独立自営就農者
推移(単位:人)

営農類型別の推移(単位:人)

農業法人就職者
推移(単位:人)

営農類型別の推移(単位:人)
