資金の確保

農地や機械の購入・施設の整備などの設備投資に必要な資金、種苗・肥料・農薬の代金など営農のために必要な運転資金、さらに、現金収入が入るようになるまでの生活資金が必要です。
令和3年度に全国新規就農相談センターが実施した調査によると、農家出身でない人が就農1年目の営農にかかった金額は、平均約755万円となっています。
資金を活用する場合は、次のことに留意しながら資金の特徴を十分見極め、自分の経営に適した資金を選ぶことが大切です。
※次の各資金は、令和6年3月時点の情報を基に内容をまとめたものです。次年度以降も実施することが確定しているものではありません。

資金の確保

1.資金活用の手順

①適正な事業計画の作成 資金を活用する場合には、まず、適正な事業計画を作ることが必要となります。その上で、その計画を達成するために必要となる農地・農機具・施設などを取得するに当たって自己資金が不足している場合に、必要最低限の資金を借り入れることを検討します。
②資金の選択 資金には、農協などの融資期間が独自で貸し付ける資金と、国や県などが利子補給や貸付原資の提供を行い比較的低利や無利子で貸し付ける制度資金があります。制度資金については、国や県などが利子補給等していることから借入者の要件等の制約がありますので、それぞれの事業計画に合った資金を活用することが重要です。
また、低利と言えども返済が長期にわたる場合には、利子負担が生じますので、自身の収支計画等を考えながら適切な借入額、償還期間などを融資機関に相談しながら設定してください。
③融資額 自身の担保能力などにもよりますが、資金はそれぞれ借入れできる最高金額(限度額)が決まっているほか、融資率(例えば事業費の8割以内)が決まっているものもあります。
④借入れの要件 制度資金を借り入れるためには、各資金で定められている要件に適合することが条件となることから、事前に資金利用計画等に対する行政機関等の承認が必要となります。
一例として、青年等就農資金では、青年等就農計画の認定が必須条件となっていますので、資金を借入れする前に計画を作成し、市町村長の認定を受けることが必要となります。
また、借入者の農協組合員資格や補償のための担保、連帯保証人を求められる場合がありますので、利用予定の金融機関と十分な打合せが必要となります。
詳しくは、(株)日本政策金融公庫、市町村、農協、地域県民局地域農林水産部(農業普及振興室)にお問合せください。

2.資金計画を立てるに当たって

資金計画を立てる際は、次のような手順で考えていくことが必要です。

①まず、どのような農業経営を目指すのか、作目や規模、目標とする農業所得などを頭の中に描いてください。

②そして、就農予定先の農業者の話を聞いてみます。

  • どの程度の機械、施設が必要か、購入額はどの程度か
  • 大まかな収入や支出、農業所得はどの程度か
  • 農産物の販売や農業資材の購入方法、販売に必要となる経費はどの程度か
  • 労働の様子や最も忙しい時期はいつか
  • どんなことに苦労しているか

③その上で、就農予定先の地域県民局地域農林水産部(農業普及振興室)や(株)日本政策金融公庫、農協の担当者などから指導を受け、具体的な資金計画を策定します。

④計画を実現可能なものとするためには、次のことに注意することが必要です。

農業経営の内容
  • 計画が実現可能な農業労働力を確保できるのか。
  • 地域の標準的な経営規模、資本装備と比べ過大とならないよう注意すること。
  • 農地、施設、農業機械などの所有状況を踏まえ、将来の目標を定めること。
  • 農産物の販売方法、農業資材の購入方法についても検討すること。
資金の選択
  • 自分の経営に最も適した資金を選ぶこと。各種の制度資金の組合せや補助事業の活用も検討してみること。補助事業によっては補助残に対する制度資金の活用も可能です。
  • 一般的には長期低利資金は有利ですが、返済期間は長いほど良いというものでもなく、資金繰りを考えて適切な返済期間を検討すること。
  • 通常の返済期間は、融資を受けた施設などの耐用年数に合わせたものとすること。
  • 制度資金の返済期間には、据置期間がある場合は多いので、経営が軌道に乗る時期や収支計画、資金繰りを十分念頭におき、据置期間を有効に活用すること。
収支計画
  • 農業は自然相手の仕事であり、災害や農産物価格の暴落など予期し得ない助教になることも考えられるので、余裕を持った収支計画を立てること。
  • 労働力の検討は十分に行うこと。特に人を雇う場合は、その労賃で収支計画が大幅に狂うことが多々あることに注意すること。
資金運用
  • 災害や機械の故障、農業以外の出費などを念頭におき、余裕のある資金運用に心掛けること。
  • 融資を受けるため、家計費を圧縮した計画を立て、後で苦しむといったケースもみられるので注意すること。特に子供の進学に伴う出費などを考えておくこと。
負債の状況を明確に 現在の借入金や農業以外の負債も把握しておくこと。

3.資金調達に当たって必要なこと

資金の借入れ等、資金調達のためには、いろいろなことが必要となります。

①保証人や担保の確保 制度資金を活用する場合には、連帯保証人あるいは担保が必要となることがありますが、新規就農者がこれらに対応することは大変であるという声がよく聞かれます。
特に、県外出身の方の場合は、就農地に知り合いが少ないことや担保に供する財産が少ないことなどが想定されますので、就農先の市町村や農協、研修でお世話になった先進農業者などに相談するとともに、自らが農協部会活動や地域の交流活動などに積極的に参加して、仲間づくりに努めながら、地元の信用を得ていくことが何より大切になります。
※青年等就農資金は、実質的な無担保・無保証人制度となっています。
 担 保:原則として、融資対象物件のみ
 保証人:原則として個人の場合は不要、法人の場合で必要な場合は代表者のみ
②農業信用基金協会による債務保証 保証人や担保の不足などにより資金調達が難しい場合に、一定の保証料を支払うことで「農業信用基金協会」の保証を受けることができます。本人に返済できなくなった場合に基金協会が代わって融資機関に返済しますが、基金協会には本人に対して返済を請求する権利(求償権)が発生します。
③家族経営協定 家族経営協定とは、家族それぞれが自主的に農業経営に参画し、生きがいを持って働いていける環境をつくるために作業の分担、労働に対する報酬など、協定書という形で文書にするものです。
経営のうち一部の部門について主宰権があること等が明確になっている家族経営協定を締結している農業者は、農業近代会資金・経営体育成強化資金の貸付対象者となります。
なお、家族経営協定の詳細については、就農先の地域県民局地域農林水産部(農業普及振興室)にお問い合わせください。

4.新規就農のための主な制度資金

青年等就農資金

貸付主体 (株)日本政策金融公庫
貸付対象者 認定新規就農者 ※市町村から青年等就農計画の認定を受けた個人・法人
資金使途 青年等就農計画の達成に必要な次の資金
※ただし、経営改善資金計画を作成し、市町村を事務局とする特別融資制度推進会議の認定を受けた事業に限る
施設・機会 農業生産用の施設・機械、農産物の処理加工施設、販売施設
果樹・家畜等 家畜の購入費、果樹や茶などの新植・改植費のほか、それぞれの育成費
借地料などの一括支払い 農地の借地料や施設・機械のリース料などの一括支払いなど
※農地の取得費用は対象となりません。
その他の経営費 経営開始に伴って必要となる資材費等
融資条件 返済期間 17年以内(うち据置期間5年以内)
融資限度額 3,700万円(特認1億円 ※所定の要件を満たす場合)
利率(年) 無利子(借入れの全期間にわたり無利子)
担保・保証人 実質的な無担保・無保証人制度
留意事項
  • 国の補助金を財源に含む補助事業(事業負担金を含む)は、本資金の対象となりません。ただし、地方公共団体の単独補助事業、融資主体型補助事業及び経営発展支援事業は対象となります。
  • 審査の結果により、御希望に添えない場合があります。
  • 本資金は毎年度国の予算の範囲内で実施されるものであるため、取扱額に限りがあり、融資の実行時期によっては希望に沿えない場合があります。
  • 上記以外にも資金を御利用いただくための要件等があります。
    詳しくは、㈱日本政策金融公庫(青森支店 017-777-4211)までお問い合わせください。

就農までのステップ

  1. 就農相談
  2. 目指す経営ビジョンの明確化
  3. 就農に向けた技術や経営ノウハウの習得
  4. 農地の確保
  5. 機械や施設等の取得
  6. 資金の確保
  7. 青年等就農計画の作成
  8. 新規就農

お問い合わせ

青森県 農林水産部 構造政策課 
担い手育成グループ
〒030-8570 青森市長島1丁目1-1
(代)017-722-1111 内線 5059 
(直)017-734-9463

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