農業を始めるには農地が必要です。農地を買ったり借りたりする場合には、「農地法」や「農業経営基盤強化促進法」など各種の法律等による様々な決まりがあります。このため、正しい手順を踏んでいくことが必要であり、その土地の権利関係を法務局にある土地登記簿によって調べておくことも大切です。
また、農地の土壌条件などは作物の適正と密接に関係しますので、事前に現地を確認することも重要です。
売買、貸借可能な農地の情報については、青森県農地中間管理機構((公社)あおもり農業支援センター)や就農を希望する市町村の農林担当課、農業委員会にお問い合わせください。
優良な農地の確保は、農業経営を円滑にスタートさせるための大切な要因となります。
先輩就農者がどのように農地を確保したかも参考になるので、先輩就農者インタビューを併せてご覧ください。
先輩就農者インタビュー
農地の貸借等に係る各種制度
根拠法令 | 事業名 | 取引区分 | 内容 | 相談先 | |
---|---|---|---|---|---|
貸借 | 売買 | ||||
農地中間管理事業の 推進に関する法律 |
農地中間管理事業 | ○ | – | 農地中間管理機構が、農地の所有者から農地を借り受け、まとまりのある形で担い手に貸し付ける。 | 農地中間管理機構((公社)あおもり農業支援センター) 又は市町村農林担当課 |
農業経営基盤 強化促進法 |
農地売買等事業 | – | ○ | 農地中間管理機構が、離農者や規模縮小農家から農地を買い入れ、担い手に売り渡す。 | 農地中間管理機構((公社)あおもり農業支援センター) 又は市町村農林担当課 |
利用権設定等促進事業 | ○ | ○ | 市町村が、農地集約のために、農業者の意向をまとめた計画を作成し、その計画を基に売買や貸借を行う。 | 市町村農林担当課 | |
農地法 | – | ○ | ○ | 農地の所有者と連署で、許可申請書を農業委員会に提出し、許可を受けることにより、売買や貸借を行う。 | 市町村農業委員会 |
※地域によっては、手続きできない場合があるので、詳しくは就農したい市町村にお問い合わせください。
1.農地中間管理事業による農地の借受け
農地中間管理事業は、県の指定を受けた農地中間管理機構((公社)あおもり農業支援センター)が、地域内の農地を借り受け、管理し、必要な場合には基盤整備を行い、新規就農者を含む担い手農家(借受希望者)にまとまりのある形で貸し付ける事業です。
農業を始めるにあたり、農地を買いたい・借りたい場合は、就農先の市町村の農林担当課又は(公社)あおもり農業支援センターに御相談ください。
農地中間管理事業のフロー
2.農業経営基盤強化促進法(農地売買等事業)による農地の取得
農地売買等事業は、農業経営基盤強化促進法に基づいて農地中間管理機構((公社)あおもり農業支援センタ-)が、離農農家や規模縮小農家等から農地を買い入れ、当該農地を新規就農者を含む担い手農家に売渡しする事業です。
農地売買等事業の手続き
3.農地法による農地の取得等
農地法は、農地を効率的に利用する耕作者による地域との調和に配慮した農地の権利取得を促進するとともに、耕作者の地域の安定と食料の安定供給の確保を目的としています。
農地法によって農地を買入れ又は借入れしようとする場合は、農地の所有者と連署で「農地法第3条許可申請書」をその農地のある市町村の農業委員会に提出し、許可を受ける手続きをします。
農地法の手続
主な許可要件
- 取得後(又は借入後)において耕作の事業に供すべき農地の全てを効率的に利用して耕作の事業を行うこと。
- 農地の取得者(又は借入者)が農作業に常時従事すること。(年間150日以上)
- 取得後(又は借入後)の事業内容等からみて、農地の集団化、農作業の効率化、周辺農地の総合的な利用に支障がないこと。
※これら以外の許可要件もありますので、その農地のある市町村の農業委員会へ御確認ください。
4.農業経営基盤強化促進法(利用権設定等促進事業)による農地の取得等
農業経営基盤強化促進法は、経営感覚に優れ安定した経営を行う農業者を育成し、それらの農業者が農業生産の相当部分を担っていくことを目的として制定されました。
「利用権設定等促進事業」は、市町村が、新規就農者を含む地元の農業者の農地の賃借や売買の意向を取りまとめ、農地の利用集積を図るために必要な契約手続(農用地利用集積計画の作成と公告)を行い、この計画に従って、農地の賃借や売買を行う事業です。
利用権設定等促進事業については、就農先の市町村農林担当課に御相談ください。
なお、申出の時期は市町村により異なりますので、直接御確認ください。(毎月1日又は特定の時期)
農業経営基盤強化促進法等の一部改正する法律(令和5年4月施行)の経過措置により実施できる事業のため、地域によっては、手続きできない場合もあります。詳しくは市町村農林担当課へ御確認ください。
主なメリット
借手(買手)の主なメリット
- 賃借の更新は、再手続により可能。
- 費用地区域にある農地を買入れた場合は、不動産取得税の軽減など税金面での優遇措置が受けられる。
貸手(売手)の主なメリット
- 契約期限が到来すれば返還される。(更新は可能)
※農地法では、契約解除の手続をしないと、期限到来後も契約が自動更新されてしまいます。 - 農地を売った場合は、譲渡所得について800万円の特別控除が受けられる。
所有者が安心して貸せる
利用権設定等促進事業による手続及び要件
農用地利用集積計画の要件
- 計画の内容が市町村基本構想に適合すること
- 利用権設定を受ける者の主な要件
①農用地の全てを効率的に利用して耕作すること ②農作業に常時従事すること - 利用権の設定等をする土地について権利関係者全ての同意を得ていること
(ただし、40年を超えない利用権設定の場合、共有持分の2分の1を超える同意でよい)