みらいファーム・ラボ 株式会社小栗山農園弘前市
- 経営概要(栽培品目)
- りんご
青森県弘前市でりんご生産をメインに行う、みらいファーム・ラボ 株式会社小栗山農園。120年以上続く個人農家から2019年に法人化し、弘前市の小栗山地区で約40品種のりんごを生産しています。2022年2月に異業種からの転職で就農した、高村瑞穂さんにお話を伺いました。
会社概要
会社名 | みらいファーム・ラボ 株式会社小栗山農園 |
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代表取締役 | 中野 英喜 |
所在地 | 〒036-8127 青森県弘前市大字小栗山字小松ヶ沢166-1 |
設立日 | 2019年7月8日 |
連絡先 | TEL:0172-88-8911 FAX:0172-88-8912 |
事業内容 | ・果樹(りんご)生産 ・自社通販事業 ・農作物の販売(大手スーパー、市場卸等) |
小栗山農園HP | https://miraifarmlabo-koguriyamanouen.jp/ |
プロフィール
高村 瑞穂さん(営業企画部広報マネージャー)
神奈川県相模原市出身で、前職(ホテル業)の異動で東京都港区から青森県弘前市へ移住しました。2022年にみらいファーム・ラボ 株式会社小栗山農園へ転職。現在は生産管理(現場スタッフのマネジメント)や営業企画(新商品開発)、販売管理(ECサイト運営)、広報を担当しています。
農業法人に就職した経緯
前職の異動で弘前市へ転勤してきたことが始まりでした。全国展開しているホテルのマネージャーとして、全国転勤している中で2021年に弘前市に着任しました。弘前市を訪れるお客様と接して気づいたのが、弘前市や青森県のファンだったり、青森県のことを知っている方が多いということです。転勤した当初は、青森県はりんごが日本一ということや、弘前市は桜の名所ということをお客様から教えていただき、地域のことを全く知らないことに気づきました。
そこで、基幹産業であるりんごや弘前市のことを知るために、りんご作業の手伝い((株)小栗山農園が主催する農業体験)に参加しました。正直、関東出身としてはりんごというと長野県のイメージが強く、そこで初めて青森県のりんご産業に関わりました。この手伝いがきっかけで、無限の可能性がある農業の世界をさらに知りたくなりました。それから月1回、アルバイトとしてりんごの作業に行きました。月1回の経験が、まるで別世界に来ているかのような体験だったのを今でも覚えています。弘前市に来るまで知らなかった青森りんごの魅力を知り、私自身が「農業の世界に飛び込んで広めたい」という思いも芽生えていました。
元々、独立したい思いがありましたが、当時はホテル勤務だったので、飲食店や宿泊業、農泊、グリーンツーリズムなど…、観光に関したことで独立したいと漠然と考えていました。
そんな折、まずは弘前市のりんご農家や農業の仕事がどういうものか、知ってみてから独立について考えてもいいのでは?と、りんご作業のときにアドバイスをいただいたこともあり、りんご産業への興味が増し、弘前市に転勤して1年後の2022年に、みらいファーム・ラボ 株式会社小栗山農園へ転職しました。
他業種から農業に参入して感じた魅力、ギャップ、難しさなど
農業は可能性が無限にあることに魅力を感じています。例えば、これまで農家は農作物を生産するだけで、販売は別の業者が担うことが主流でしたが、今では生産だけでなく直接お客様へ届けるルートを開拓できる時代になりました。しかし、個人農家の場合は生産作業に忙しく、そこまで手が回らないこともあります。だからこそ、私たち農業法人が率先して販売ルートを確立して、個人農家が付随して一緒にりんご産業を盛り上げることができればいいなと思っています。農業法人と個人農家、どちらも活躍できる世界をつくれる可能性があることって魅力的ですよね。
一方で、屋外で立ちっぱなしで農作業が続くと体力面で大変に感じることがありますし、住み慣れていない地域で前職と仕事内容も異なるため、環境の違いに壁を感じることもありました。
地元の人からは収入面や体力面から農家になりたくないという声がありますが、自身の体験でいいギャップもありました。正直、入社1年目は見習い期間だったので、収入的には前職よりも下がりました。しかし、自分が得意としていたマーケティングの知識や全国各地の転勤経験で培ったネットワークを生かした営業力を評価していただいたことで、2年目からは収入が上がりました。生産技術以外の面でも会社から評価してもらい、自分自身でもステップアップできている実感があります。
1日の主なスケジュール
就業時間は8時~17時までです。園地での仕事が終わって会社に戻ってくる現場スタッフさんたちのフォローなどがあるので、帰るのは大体18時~18時半ごろになります。
仕事内容は、メインの営業・広報と、スタッフのマネジメントがあります。最近は新商品の開発もしています。どんな加工品業者がいいか、どんなパッケージデザインがいいか、どこの業者に依頼するかを決めるために、様々な会社と打ち合わせをしています。社内で検討したことを、形にしていく役割を果たしています。
また、園地では主に現場スタッフのマネジメントをしています。8時にスタッフが出社するので、その前に休憩用の飲み物を準備したり、暑さ対策の送風作業服の準備をしたり、スタッフたちが働きやすいような環境作りをします。そして、当日の仕事内容を共有して、園地へ送り出します。園地を回り作業状況を把握しに行きます。スタッフの人数が足りないときや、収穫時の繁忙期は私も畑作業をします。薬剤散布や草刈りなど、機械を使う作業もお手の物です。園地から眺める弘前市街地の景色がきれいでお気に入りです。
会社の雰囲気
大学生のアルバイトからベテランスタッフまで、祖父母世代、親世代、そして孫世代と幅広い年代の方がおり、家族三世代が集まっているようなにぎやかさがあります。ベテランスタッフさんは、ご自身のお孫さんと同年代の学生に教えながら仕事をしているので、とてもいきいきしています。年代を問わない交流が自然と生まれて、いい関係性が築ける会社だなと思いますね。
学生さんは紹介や口コミで集まってくれています。弊社は賄い付きなので学生には特に人気です。賄い作りも時々担当しています(笑)。農業に興味がなかった学生さんも、アルバイトを通して興味がわいたようで、農業関係の会社に就職が決まった事例もあり、弘前市の農業に貢献できている実感があります。
世代を超えたスタッフが集まる会社の雰囲気はとてもアットホームです。収穫時期には「日が暮れるまであと10箱収穫するぞー!」と、自然相手にみんなで一致団結して乗り越えたときには、さらに絆が深まりました。
また、スマート農業機械の試験研究も積極的に受け入れています。具体的には、収穫時期にロボットをどのぐらい活用できるか、どのように活用したら作業の省力化を図れるかなど、実験の協力をしています。私自身、常に新しいことは積極的に取り入れ、挑戦する気持ちがあります。というのも、今のりんご産業はいかに初心者でも簡単にりんごの生産ができるか、を考えるフェーズにいると思うんですよね。新しい栽培方法や技術に対して、情報感度を高めるよう心掛けています。
農業就業体験ツアーへの参加を検討する人(雇用就農を検討する人)へのメッセージ
就農に対して迷う部分があると思いますが、まずは農業というものを体験していただきたいです。ギャップはもちろんあると思います。住む場所や作業環境が自分に合うかどうか、体験して知ることから始めてほしいですね。農業には、気が付かないところにたくさん魅力がありますし、自分が育てたものがお客様へ届くまでの壮大なストーリーが何よりの魅力かなと。私自身、まずは農業体験をしてみるところからスタートし、今では雇用就農の道を選んでよかったと胸を張って言えるので、体験したことで農業についてもっと考えてみようかな、調べてみようかな、と思うきっかけになれば嬉しく思います。
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