大型機械、新技術を積極導入!
省力化・持続性に挑戦し続ける大規模経営

掲載日:2024年11月26日

木村農也さん

木村 農也 さん鯵ヶ沢町 / 有限会社 風丸農場 代表取締役

経営概要(栽培品目)
水稲(まっしぐら、はれわたり、飼料用米)26ha、大豆70ha、りんご(管理受諾)26ha

鯵ヶ沢町出身。昭和46年に農業一家の4人兄弟の四男として生まれ、大学卒業後は林業土木系の測量・設計会社に就職。
平成12年にUターンし、実家の農業に従事しながら地元の農業組合の一員として就農。平成16年に組合を前身として「有限会社 白神アグリサービス」が法人化され、平成18年から経営を担う。令和3年に現社名「有限会社 風丸農場」に改称。
青森県農業経営士(平成28年度認定)。

会社概要

会社名 有限会社 風丸農場
代表取締役 木村 農也
所在地 〒038-2702 青森県西津軽郡鯵ヶ沢町大字建石町字大曲1-1
創業 2004年4月
連絡先 TEL/FAX:0173-82-5421
事業内容 ・農作業受託
・農作物の販売
・簡易農業土木
・農地保全
・体験農業受け入れ
・加工販売
従業員数 家族3人、常雇用6人、季節雇用12人
有限会社 風丸農場HP http://www.kazemaru-nojo.com/

就農した経緯

元々は山の仕事に携わりたいと、農林高校の林業科を経て大学を卒業し、林業土木系の測量・設計会社に就職しました。全国転勤のある職場でしたが、働くうちに家を建てたいと考えまして。そのころに、家業を継いで農家になっていた兄から、規模拡大をするため手伝ってほしいと誘われました。当時の赴任地が住みやすい土地で、林業土木系の測量・設計会社の給与も良かったので正直、抵抗はありましたが、どこかにベースキャンプを作りたかった思いが強く、帰郷して就農することにしました。

農業については子どものころ、休みには作業の手伝いに駆り出されていたため、いいイメージがありませんでしたが、大人になると社会の中で必要な産業という認識から価値観が変わり、やりがいを感じられるようになりましたね。

木村農也さん インタビュー

経営の取り組みについて

栽培・生産への取り組み

就農して4年後に、在籍していた農業組合を法人化し、その2年後には兄から経営を任せられるようになりました。
兄は剪定枝を集める機械のアタッチメントをメーカーと共同開発するなど、作業の効率化に積極的で、自分も重機を駆使した農業を進めました。下手すると人間が先に壊れちゃうので、なるべく機械化。
播種や薬剤散布など作業の省力化と少人数化に取り組みました。

例えば大豆の播種では機械にキャリアを付けて一回で5ha分の播種をできるようにしたり、防除作業も機材とやり方を見直して、以前は付けていた補助員をなしにできるようにしたり。工夫してやっている方だと思います。

地域の休耕地を引き受けて経営面積も広げていき、併せて水稲の直播など、効率化のための新技術を積極的に取り入れています。農法は時代に合わせることを心掛け、従来の慣習にはとらわれないようにしています。

加工品について

当社で生産しているりんごは、管理委託を受けた園地で栽培しており、栽培面積の半分くらいが加工専用園となっています。青森県産りんごが大規模なひょう害に見舞われた平成21年に、フードコーディネーターさんの協力を得て干しりんごを開発しました。軽くて持ち帰りやすいのでお土産品に重宝されるなど、現在の定番商品になっています。

小麦粉の代わりに米粉を使った、完熟りんごのカレールウも、お米屋さんが経営するレストランで使ってもらったり、知り合いたちの口コミで広がりました。

りんごジュースはこれまで加工を委託していたのですが、令和6年からは自社加工に切り替えるため、加工場も新設しました。これからの収入安定化を見越し、経営面では加工部門のウエイトを高めていっているところです。

木村農也さん 加工場
新設した加工場

経営で重視していること

作付け品目を集中させず、収入の柱を何本かに分けています。

主な品目は水稲と大豆とりんごですが、大豆は政策に振り回される性質があるものの国からの転作交付金で収入があります。水稲とりんごはある程度の経営面積をこなせて適性に栽培管理できれば、売り上げの見当が付きます。
これらのバランスがとれていて、プラス加工部門の売り上げがあることで、経営に安心感を持っています。今後は機械の整備を進め、さらに少人数・大規模化を図っていきます。

今の時代、労働力確保の難しさは尋常でありません。従業員にとって長く働いてもらえるような環境を整えることも心がけています。元々家族経営であることから、以前は作業の仕方や意思伝達について暗黙の了解で通してしまうことが多かったのですが、それでは身内以外の従業員が困ることも出てきまして。

そこで労働環境を改善するため、国際基準の認証制度であるGLOBALG.A.P.(GGAP)(果樹)を取得しました。GGAPでは栽培や収穫に際して安全管理基準が細かく定められているため、取組み前は「なあなあ」だった作業環境に明確なルールができ、それにそって仕事してもらうことで経営もしやすくなりました。

地域農業に貢献している取組み

宿泊滞在できる古民家を管理所有しており、民泊や農業体験を受け入れています。
新型コロナ禍前は学生が多く、知り合いの先生がゼミ生を連れてきてくれて交流しておりました。うれしいことに、農業に親しみを持ってくれて最後は移住までしてくれた子もいますね。ちなみに現在は国内の旅行客はもちろん、台湾などからの観光客の利用が多いです。

耕作放棄地を受け入れることで、地元の農業が縮小していくのを少しでも食い止めているという自負はあります。
ただ、これから先はどこまでできるかはわかりません。経営面積を増やすことは、労働力を加工部門に回したいという今の経営方針には反してしまうのでジレンマもあります。

また、津軽米づくりネットワーク(西北地域の稲作農家組織)や農業士会の仲間同士での情報交換も大事にしています。若手への指導というよりは、一緒に向上し合う仲間と考えています。

木村農也さん 田んぼ
木村農也さん 稲

産地発展のために重要だと考えていること

やり方次第で格好よく稼げる可能性がある仕事が第一次産業だと思います。

農業をもっと格好よく稼げる、魅力ある産業にしていかなければ、途絶えてしまう。そこは自分たち現役世代が頑張らなければと。汗水たらしながらも、若々しく楽しくやっている姿を見せないといけないなと思っています。

プライベートの過ごし方・農業ならではの楽しみ

12月に大豆の収穫が終わると、1月からはりんごの剪定が始まって、農閑期と呼べるものがないんですよ。本当は1週間くらい北海道にバイク旅行とかに行きたいんですけど(笑)。
その代わり、仕事終わりにバイクや車で海の方まで流しに行ったり、仲間とキャンプをしたり。人様に縛られる仕事でないので、忙しいなりにも自由な時間を取ることはできます。
あとは農業というベースがあるからこそできることですが、自分の好きなものを作ってたらふく食べられる。経営の片手間にシャインマスカットやブルーベリー、さるなし、さくらんぼなどを作っています。

木村農也さん プライベートではさくらんぼも作る
木村農也さん プライベートではブルーベリーも作る

今後の展望と課題

会社としての農業を進める上で、今後は加工に重きを置いていこうと取り組んでいます。省力化のための新技術は積極的に取り入れる。生産性が上がればその分、経営面積を広げたり、加工部門に注力ができますから。

これからは、従来のままの農業を続けているだけでは成り立っていかないと思っています。ちょっとしたところでも変化させながら作物を生産し、売っていくことが必要です。

木村農也さん りんご畑

若手生産者・新規就農者へのメッセージ

第三者に「おいしい」と言われることがうれしいですが、それだけでは農業は成り立たない。数字を客観的に見て作物を生産することが求められます。そして、執念や覚悟が必要です。

自分の農地の隣で、家族4人でスイカを育てていた先輩がいたのですが、あるとき、暴風で何十基もあるビニールトンネルがすべて飛ばされてしまったんです。
自分も涙が出るくらいの被害でしたが、次の日に畑をみるとトンネルが元に戻っていました。そうした思いがないと、農業できちんとした生活はできないと感じました。

ただ、これから就農を考えている人たちに言いたいのは、適正に作った作物を適正価格で出荷することさえできていれば、経営自体は決して難しいものではないということ。

若手生産者さんについては、自分にはできないことをはじめから取り入れている人もいて「格好いい農業をやっているなあ、見習わないといけない」と思っています。自分が上から目線で言うべきことはないですね(笑)。

木村農也さん

就農に関する詳しい情報はこちらをご覧ください

就農までのステップ
就農支援制度
相談窓口一覧

青森県農業経営士・青年農業士に関する詳しい情報はこちらをご覧ください

青森県農業経営士・青年農業士について

先輩インタビュー

お問い合わせ

青森県 農林水産部 構造政策課 
担い手育成グループ
〒030-8570 青森市長島1丁目1-1
(代)017-722-1111 内線 5059 
(直)017-734-9463

就農相談以外のお問い合わせはこちら

就農や雇用相談に関する相談はこちら

facebookでシェア Xでシェア