仲間と楽しく、農業の価値を発信!
女性が輝く新しい働き方を青森から

掲載日:2026年03月06日

somaringofarm 代表 小田切葵 さん

小田切 葵 さん弘前市 / somaringofarm代表・ノウタノ代表

経営概要(栽培品目)
りんご(3.5ha)、ぶどう(0.2ha)

農業を営む両親の下で、幼いころから畑作業に親しむ。20歳で就農し、接客業などとの兼業を経て、現在は実家のりんご園で生産した生果の発送やりんご加工品の開発製造、販売を行う「somaringofarm」を経営。 2024年2月には、女性農業者グループ「ノウタノ」を仲間と立ち上げ、代表に就任。イベント出店や食育講座、商品開発などを通して、農業の魅力発信に精力的に取り組んでいる。

概要

農園名 somaringofarm
所在地 〒036-1515 青森県弘前市大字相馬字山田40
連絡先 TEL:090-7332-2424
事業内容 ・りんご加工品の製造・販売
・生果の発送
従業員数 家族4人、季節雇用3人
創業 2022年から「somaringofarm」として活動開始

就農した経緯

農家の3姉妹の三女として生まれ、りんご園はいつも身近な遊び場でした。幼いころから、春夏秋冬通じていろいろな作業がある農業に魅力を感じていました。そんな私は、周囲の大人たちから「お前が男だったらよかったのに」と声をかけられることもしばしばでした。当時、後継ぎは男性が当たり前という風潮があって、私も姉2人も女の子でしたから。ただ、私自身は幼いころから家業を自分が繋いでいく考えを持っていたし「女の自分にもやってやれないことはないんじゃないかな」とずっと思っていました。

小田切葵さん 先輩インタビュー

高校卒業後は、社会勉強をしながら実家の農作業を手伝い、20歳で本格的に就農しました。ただ、小さいころからの夢があって、私は弘前のとある雑貨店でどうしても働きたかったんです!そのためにサービス業や接客業などで下積みとなる仕事を経験し、同じく20歳になってから畑仕事と両立する形で念願の雑貨店でも働くことに。

その後は勤務シフトを調整しつつ農作業をこなしていたのですが、「そこまで農業が好きなら…」と見かねた家族から、20歳の時に正式に家族経営協定を結ぶよう提案されました。自分にとっては「年を重ねていく両親の助けになりたい」「両親が大事にしているりんご園を守りたい」というシンプルな思いのまま、抵抗はなく自然な流れで提案を受けたように記憶しています。

好奇心が旺盛で、これまで色々な仕事をしてきて、他に比べるものがたくさんある中で「やっぱり農家って楽しい」という答えに行き着いており、すべてが今につながっていると感じます。

小田切葵さん 農作業

経営の取組について

りんごの栽培は父が主に担当し、私はりんごの作業のほか、加工品の開発や商品の発送業務を担っています。以前は収穫したりんごのほぼ全てを農協に出荷していましたが、コロナ禍を機に「対面販売ができない中でも、「お客様に直接りんごを届けて声を聞いてみたい」という思いが強くなり、ネット販売を始めました。

りんごを送ったお客様から「大変な時期だけど頑張ってくださいね」という温かいメッセージをいただいた時は、本当に嬉しくて。その一言でやりがいにさらに火が付きました。今では応援してくださるリピーターさんも増え、日々の心の励みになっています。お客様に「自然豊かなこの園地で、農業が大好きな私たちが日々懸命に作ったりんごです」と伝えていけば、青森りんごをより大事に想ってくれるお客様が増え、農業が活気づくきっかけにもなるんじゃないか、という思いで取り組んでいます。

そして、りんごが出回らない時期にも青森のりんごの魅力を伝えたいと、加工品の開発にも力を入れています。看板商品は、国産バターにすりおろしりんごを混ぜ込んだ「りんごバター」。「『青森りんご』をどうぞよろしく‼」と挨拶しながら、いろいろな場所に飛び立ち、たくさんの人と出会うきっかけを作ってほしいという願いを込めて「Nice to Ringo you!!はじめまして!」という商品名にしています。
りんごバターのほかに、シリーズとしてジュースやゼリーにも展開。まずは多くの人の目に触れて、青森のりんごをPRしてくれる存在になってほしいと思っています。今後も加工品を増やして青森の味をたくさんの方に届けたいです。

somaringofarmの商品
「Nice to Ringo you!!」の商品シリーズ

「ノウタノ」の活動について

現在の活動につながる大きなきっかけが、青森県主催の「若手農業トップランナー塾」でした。好奇心の強い私に、姉が「もっと学びに力を入れてみたらどう?」と提案してくれて参加を申し込みました。それまでの生活は家と畑の往復がほとんどで、外の世界に目を向ける機会は多くありませんでしたが、塾に参加したことで、今まで見えていた世界が変わり、学ぶことの楽しさも生まれてきました。塾で出会った仲間たちとは、お互いに家庭と農業を両立していることや、やりたいことについてのアイデアの話で盛り上がり、次第に「一人では形にするのが難しくても、仲間がいればいろんなことを実現できるはず!」という確信が生まれました。

そこで2024年2月、同じ意識を持つ「農女子」による、「農業を楽しむ」をコンセプトにしたチーム「ノウタノ」を結成。メンバー6人でイベント出店や保育園や小学校での食育講座、剪定の勉強会などによる交流や、行政関係者との意見交換といった活動を広げています。「青森りんごを盛り上げたい」「青森の農女子の方々と、栽培作物は違えども繋がりたい」―。すべてはそういった思いで、私たちは活動しています。農業を身近に感じてもらったり、女性でも農業を始めたいと思う人が増えたら嬉しいと思っています。

「農女子」で結成したチーム「ノウタノ」メンバー
「農女子」で結成したチーム「ノウタノ」メンバー
「ノウタノ」のTシャツ
「ノウタノ」のTシャツ

「仲間がいる」という実感が励みに

私が日々過ごしていた中では20~40代の農業女性コミュニティがあまりなかったように思います。ノウタノの活動によって、これまで接点のなかった人たちと繋がる機会もすごく増えました。交流会のたびに新しい出会いがあり、たくさんの方と意見交換ができています。ノウタノをきっかけに少しずつでも、農業女性のコミュニティが活気づいてくれたら仲間たちもみな喜ぶと思います。

印象的だったのは今年2月に開催した「農女子剪定会」でした。「女性ひとりで作業していて…」「夫に聞いても『俺がやるからいい』と言われてしまう」「技術を学びたいけど、男性ばかりの場には入りづらい」。そんな悩みを抱える女性たちが24人も集まり、熱心に講師の方から選定を学びました。皆さんの学ぶ意欲の高さに、私たちもやってよかったと思いましたね。りんごの農作業に関わる形はみんな違えども、おいしいりんごを作りたいという熱量、剪定を学びたいという気持ちは同じでした。なにより「これほどの仲間がいる」「自分はひとりではない」と一人ひとりが感じることができ、楽しい時間を過ごすことができました。こうした女性のための学びや技術向上に向けた取組を続けていけば、自力で就農したいという女性が増えることにつながるんじゃないかな、と考えています。

「農女子剪定会」の様子
「農女子剪定会」の様子

新しいつながりをきっかけに活発化

ノウタノでは地域や品目を超えて青森県の農業女子とつながっているので、さまざまな情報が入ってきます。自分とは栽培作物が違って農繁期の異なる仲間もいるので、お手伝いさんを融通し合ったり、横のつながりを生かした仕事のマッチングも頻繁にやっています。自分は「人と人を繋ぐこと」が好きなんだな、と実感しています。

ノウタノの活動はSNSで発信しているのですが、それを見てくださった長靴メーカーさんから、商品の共同開発のご提案もありました。そもそも、私たちはこれまで使っていた長靴には不満がたくさんあって(笑)。せっかくなので、デザイン、色、履き心地にこだわった理想の長靴にしようと、開発には1年弱ほどをかけて形にしてもらいました。大事にしたのは「手を使わずに履き脱ぎできること」。農作業中は何かと両手がふさがりがちなので、とても助かります。足が疲れづらい中敷きも入っており、農作業がスムーズに行えます。現場のリアルな声、女性ならではの視点を盛り込みました。

ノウタノがメーカーと共同開発した長靴「かじゅなが」
ノウタノがメーカーと共同開発した長靴「かじゅなが」

農業のやりがいについて

私にとって、農作業をしている時間はとても充実しています。りんご園で過ごす時間が昔から大好きなんです。「今日はあれをやろう」「何日までにこれを終わらせよう」と日々計画することも楽しみ。 農業は子育てに似ていると感じることがあります。手間をかけてお世話をすれば、作物は正直に応えてくれる。災害や鳥獣被害にはなかなか勝てませんが。子育てと一つ違うのは、もし今年うまくいかなくても、来年また改善して挑戦できること。その奥深さが、農業の魅力であり、やりがいです。

小田切葵さん 農作業

産地発展のために重要と考えていること

「青森りんご」という日本一のブランドを守っていくためには、新規就農者を増やすことが不可欠です。担い手不足により耕作放棄地や休耕地が増えている中、「後継者のいないりんご園は5年後には終わりを迎える」という厳しい現実を、私たちは受け止めなければなりません。そのためには、農業の魅力を伝え、就農希望者が一人立ちできるまで、地域全体でサポートしていく体制づくりが重要だと考えています。

ノウタノの活動は、将来の担い手づくりにもつながると考えています。例えばりんごがどうやって育つのかとか、両親が農家でも知らない子も多分いると思うんです。なので、そんな子どもたちが農業を身近に感じて、りんご作りに興味を持ち、りんごという存在をより身近な「モノ」「コト」と感じてもらえればいいですね。こうした想いから、ノウタノでは子どもたちを対象にした食育講座などを行っています。目の前の新規就農も大事ですが、これからの園地を守っていくという意味では、小さい子たちにも働きかけていくべきだと思っています。このような取組は、ノウタノのメンバーも皆、子どもがおりますので、みんな楽しんでやっていますね。

小田切葵さん りんご

プライベートの過ごし方

農閑期には県外の農家さんに会いに行ったり、講習会に参加したりと、学ぶことや人から刺激をもらうのが好きですね。今後は、ノウタノメンバーと県外イベントに参加もしてみたいですね。

まとまった時間が取れるので、子どもたちの遠方のスポーツ遠征などの応援にも行きます。出先でお寺などを巡り、御朱印を集めることにはまっています。いずれは四国三十三観音巡りに行きたいですね。

今後の展望と課題

加工品の開発にもっと力を入れていきたいです。みんなが作った加工品や作物などを置いた直売所を作ることが目標です。活気がありお客様が楽しめるお店作りを考えているとわくわくします。

そして将来的には、女性が農業をより始めやすくなるためのサポート事業を行いたいと考えています。例えば、高価な農業機械を個人で所有しなくても気軽に利用できるレンタルシステムや、必要な時に運転操作ごと依頼できるオペレーターシステムがあれば、最初の一歩を踏み出しやすくなるはず。まずは私自身がオペレーター講習などに参加して、準備を進めていこうと思っています。

若手生産者・新規就農者へのメッセージ

農業を始めるのに大切なのは、少しの覚悟とたくさんの好奇心。学び、挑戦し続けることができるのが農業だと思っています。自分次第で可能性は無限で、私自身も勉強の日々。まだまだ必要な知識や技術が多く、それゆえに充実して過ごしています。「農業はきつい」「大変だ」「辞められない」というイメージがあるかもしれませんが、私はあまりそう感じたことはありません。確かに、女性がひとりで農業を始めるのは簡単ではないし、できないこともあります。「全ての作業を自分ひとりでやるべき」と考えるのではなく、ひとりで難しい作業は外部にサポートをお願いする。それで農業は気負わずに楽しめるはずです。横のつながりをつくったり、支えてくれる人たちとの関係を大事にやっていけるのも、女性なのではないかと思います。

小田切葵さん 若手生産者・新規就農者へのメッセージ

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就農支援制度
相談窓口一覧

先輩インタビュー

somaringofarm 代表 小田切葵 さん
女性農業者
小田切 葵さん
弘前市 / りんご・ぶどう
加納良介さん・可奈恵さん
独立自営就農
加納 良介さん・可奈恵さん
南部町 / さつまいも・じゃがいも・にんにく・とうもろこし
株式会社NAMIKIデーリィファーム
雇用就農
株式会社NAMIKIデーリィファーム
野辺地町 / 生乳・仔牛
葛西 貴大さん
独立自営就農
葛西 貴大さん
田舎館村 / 冬春いちご(とちおとめ)
株式会社 甲田ファー夢 代表取締役	甲田秀行さん
経営士・農業士
株式会社 甲田ファー夢
代表取締役 甲田 秀行さん
十和田市 / キャベツ,ながいも,にんにく
山田俊さん・園実さん
独立自営就農
山田 俊さん・園実さん
鶴田町 / ぶどう(スチューベン)
有限会社 まごころ農場 代表取締役 斎藤靖彦さん
経営士・農業士
有限会社 まごころ農場
代表取締役 斎藤 靖彦さん
弘前市 / ミニトマト,りんご,農産加工
有限会社 風丸農場 代表取締役 木村農也さん
経営士・農業士
有限会社 風丸農場
代表取締役 木村 農也さん
鯵ヶ沢町 / 水稲,大豆,りんご
田邊 真太郎さん
独立自営就農
田邊 真太郎さん
平内町 / お米,そば,大豆,野菜(ピーマン他、多品目栽培)
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株式会社中里青果
雇用就農
株式会社中里青果
五戸町 / ながいも、だいこん、ごぼう
みらいファーム・ラボ 株式会社小栗山農園
雇用就農
みらいファーム・ラボ 株式会社小栗山農園
弘前市 / りんご
農業生産法人 株式会社よしだや
雇用就農
農業生産法人 株式会社よしだや
三戸町 / にんにく
沢森 靖史さん
独立自営就農
沢森 靖史さん
田子町 / にんにく, えごま
高井 啓さん・美奈子さん
独立自営就農
高井 啓さん・美奈子さん
平川市 / ミニトマト, ネギ
木村 恵莉子さん
独立自営就農
木村 恵莉子さん
青森市 / りんご
佐々木 基さん
独立自営就農
佐々木 基さん
十和田市 / 黒毛和牛, 短角牛
濱田 裕子さん
独立自営就農
濱田 裕子さん
東通村 / いちご, ほうれん草, さつまいも, そば

お問い合わせ

青森県 農林水産部 構造政策課 
担い手育成グループ
〒030-8570 青森市長島1丁目1-1
(代)017-722-1111 内線 5059 
(直)017-734-9463

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